イベント情報 セミナー情報 メンバー情報発信コーナー フラッシュ〜自立に挑むレディ過去の活動
メンバー情報発信コーナー

古代史にふれる - 訪れるたびに新発見 高場初枝



古代史にふれる - 訪れるたびに新発見  高場 初枝



古代史の中でも特に奈良に魅せられるようになったのは、法隆寺の宮大工棟梁であった西岡常一さんの著書「木に学べ」を読んでからである。

(法隆寺)
西岡氏は何代も続く宮大工の家に生まれ1995年86歳で亡くなるまで、法隆寺、薬師寺をはじめ多くの寺社仏閣を大改修、再建してきた。長い間現場で総指揮をとった実体験から、当時の人々の建築技術や文化に対しての敬服の念と飛鳥への愛情が随所ににじみ出る。自分を律し、強い信念で(法隆寺最後の)棟梁の仕事をまっとうした自信と達成感もかいま見える。氏が発するひとこと一言に私たちが忘れかけている伝統的な日本文化の真髄が伝わってくる。 ほんの一部を紹介すると、

  • 1000年以上もかけて育ったヒノキで作られているからこそ法隆寺は1300年ももっている。そのヒノキの素晴らしさに当時の人々が気がついていたこと、西岡氏は解体して初めてその素晴らしさを実感したという。
  • 室町時代以降消滅していた“ヤリガンナ”を正倉院の宝物の中に見つけ、思考錯誤して再現させたこと。法隆寺を解体した時の古釘で作ったヤリガンナを使うと、ぬくもりのある雨露をはじき腐りにくい当時の柱が仕上がるという。現在の鉄は質が悪く高度な技術をもってしても再現できないそうである。
  • 大陸から伝わった建築技術を、雨が多く湿度の高い日本の風土、気候に合わせた独自の建築物を作り上げた古代の人々の知恵、技術に敬服したこと。
  • 飛鳥の構造美を軽んじ、装飾をこらした室町時代以降の建築技術を歯に絹着せぬばっさり切る語り口には思わず笑ってしまう。

この本を読む前までは、世界最古の木造建築というだけの観光気分で訪れていた自分が恥ずかしくもあり、ひと味違う古都の楽しみ方を知った喜びも感じている。西岡さんの本を片手に、近く法隆寺をまた訪れることにしている。

(唐招提寺)
「天平の甍」の呼び名で親しまれている唐招提寺金堂の平成大修理が約10年を経て今年(2009年)完成する予定だが、昨年訪れた時、“千手観音”からはずされた大きな一本の手が飾られていた。手の一本一本に“目”があり、千手千目観音とも呼ばれていることをはじめて知った。
改修もほぼ終わりに近づき千手観音も仮安置場所から御心新たに金堂に戻られたそうである。

(薬師寺)
昨年、奈良薬師寺の月光・月光菩薩像がそろって東京に遠出した際には、日頃は前方からしか見ることのできない両菩薩を360度どこからでも拝観できるというめったにない絶好の機会に恵まれた。通常は仏さまの後光をあらわすという“光背”でかくれており、薬師寺の僧侶でさえ後姿をはじめて見たという。両菩薩のみごとなまでの健康美、なまめかしいとさえ思える人間そのままの姿に息をのんだが、人々を導き、救うために人間の姿をして人々の前に現れたのだと聞いて思わず合掌した。

(興福寺)
今年3月末には、奈良興福寺の阿修羅像が東京に50年ぶりにお目見えする。三つの顔と6本の手(三面六臂)を持ちながら、絶妙のバランスを保つ小柄な美しい仏像である。
こちらも前方からしか拝観したことがないが、二つの横顔を真正面から拝顔できるのを今から楽しみにしている。阿修羅像にまつわるいろいろなことを学ぶ良い機会にもなりそうである。


 このページの先頭へ